こちらの展覧会に行ってきました。
ベルギー奇想の系譜〜ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで(Bunkamuraザ・ミュージアム)
とっても楽しかったです(^-^)
今日はその個人的な感想を。
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「現在のベルギーやその周辺地域では、中世末期から発達してきた写実的描写の伝統の上に、幻想的なテーマの絵画が生み出されていきました。」(展覧会フライヤーより)
ということで、この地で生み出された作品を「幻想」「奇想」といったテーマで16世紀の絵画から、近代、現代のアート作品までを集めた展覧会でした。
16世紀のフランドル絵画、版画にじっくり浸るところから始まって、最後は現代の作家の作品に触れて展示が終わるのですが、タイムトリップしたみたいで面白かったです。
16世紀の版画はこんなの
とかが沢山並んでいて、A3くらいのサイズにびーっしりと描き込まれた様子を観ていくのがとても楽しい。漫画を読むような楽しさです(^-^)
そして、コリコリと描き込んでゆくのもとても楽しいだろうなぁと思います。
これらの版画は聖書に出てくる戒めを表現していて、人間の愚かな側面を地獄の有り様や空想の禍々しい生き物で描いたり、聖書の格言みたいな言葉が添えられているのですが、、
なんか、描かれた悪魔的な生き物たちが凄く楽しそうに感じられて、一緒に遊びたくなってしまいました(^-^)
愚かしい様子の人間の姿も沢山描かれていて、下半身だけ裸の人がしゃがんでいたりして、、嫌悪感よりも先に、ププッと吹き出しちゃう。えらいこっちゃーって(笑)
Tシャツ(?)の下に何にも履いてないって、今も昔も相当マヌケな姿です。
こういう版画って当時、凄く流行って沢山の需要があったそうなんですけど、戒めの為にこれらを手に入れるというよりは、ブラックユーモアというか、触れてはいけないものに触れる楽しみのために流行ったんじゃないかなぁ?
いや、写真も電気もなく、宗教の影響が強かったかの時代では、これらの描写は凄くリアルで怖かったのかな。ちゃんとお説教とかに使ってたのかもしれない。
でも、これを見ながら「こんな風にみっともなく堕落してしまうのだぞ」とか大人からお説教されてる間に、されてる子どもは「あ、半ケツの人がいる、、」とか絵の中のあらぬとことを見ちゃって、上の空になりそうだよね(笑)
象徴するもの、絵解きの解説は沢山あるけど、そういう市井の人々にとっての版画の使い方(?)って本当のところ、どうなんでしょうねえ。
同様の時代、テーマの油彩画もありましたが、500年も前の絵がツヤツヤと色鮮やかで「さすが!堅牢さを誇る油絵の技法だなあ」と思いました。いにしえの人々が編み出した技法や修復・保存の技術に感心ひとしお。
絵って本当にあらゆるところが面白いなあ!
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いろんな作家の作品がある中で私が惹かれたのはルネ・マグリットの「9月16日」という小さな版画作品でした。
夜の木の中にお月さまが描かれていて不可思議な様子なんですが、夜の色合いがあまりに自然でみずみずしくて、私には妙にぴったりくる感じでした。
画面の左上に、白い点がポツンとあるのを発見して、コレは星なのかな??ステキ!と嬉しかったんですが、後でネットで調べたら、同様の構図で描かれた同タイトルの油彩作品には星は無かったんですよね。私が感激した星は、もしかしたら版画の工程で出来たただの点なのかもしれないです。。(笑)
けど、星を見つけた時のキャっと嬉しかった瞬間は私のたからものです(^-^)
またどこかでこの作品に出会えるといいな。
ああ、生の作品に触れるって本当に楽しいな!
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この展覧会は9/24(日)までの開催です。
あ、作品保護の為に室温がけっこう低めに保たれているので、ちょっと厚めの羽織ものがあるといいと思います。
お誘いをくれたMちゃん、ありがとう!
一緒に観られて楽しかったよー(^-^)
◆ではでは、また!コリコリと自分で描き込む楽しさをどうぞ(^-^)