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一枚の海図から
みなさん、「海図」ってご存知ですか?
呼んで字の如し、海の図。
海底の地形(水深)や地質、海岸線の様子などが記されていて、
こうした情報から航路や潮流を読んだり、
錨(いかり)を下ろす場所を決めたりするのだそうです。

GPS全盛の昨今ですが、現在も海図は発行されており、
船に乗る方などは、こうした紙ベースの海図も
利用されているのではないでしょうか。


さて。
この「海図」と「海図を作る測量技師さん」に出会う、
という滅多に無い機会に恵まれました。

しかも、今回私が触れた海図は現行のものではなく、
明治や大正、昭和初期などの古いものです。

どの海図も手垢にまみれ、
とても小さな字でデータの修正が書き込まれたりして
先人たちの労がしのばれます。

とても驚いたのが、その紙の丈夫さ。
実際に海に出て使われた海図たちは、
半世紀以上たった今でも堅牢です。
少々ひっぱったくらいではびくともしません。
聞けば、日本の海図はとても頑丈なのだとか。


また、海図を描くためのペンやコンパス、
測量のための道具なども見せていただきました。

いまやなんでもデジタル描画が主流ですが、
やはり海図作成にも「手描き」の時代があり、
万年筆や烏口といった道具で
緻密な海岸線やデータを描いていったのだそう。


測量にまつわるお話も伺いました。

海上における自分の居場所を把握するための
データと計算式のこと。
そのデータを取るための道具のこと。
測量船での数ヶ月に及ぶ海上生活があり、
その船にはいろんな役割の人がいて、
船を操縦する人、測量をする人、料理を作る人、、、
それぞれが役割を担って航海をすること、などなど。


一枚の海図が出来上がるまでに、
本当に多くの人や道具が関わっているのだなあ!!


測量をし、記録する技術を温めていった人々。
その道具と、道具を開発していった人々。
それらの礎になる、ありとあらゆる公式や学問。
長い航海にも耐えうる紙を漉いた人々。
海図を印刷する人や機械。。。
じつに色んな要素があって、初めて出来るのです!


なんだかとても感動してしまいました。


そういえば、
現在ではなんの変哲も無い「鉛筆」なんかも
最初は芯の部分だけで、木の部分は無かったし、
「絵の具」だってチューブが発明されるまでは
そのつど調合しなければ使えなかった。

ふだん何気なく使っている道具、
どんなにアナログなものでも、
先人たちの英知が刻まれている。

で、それを使って私たちは
生活したり仕事をしたり絵を描いたりしている。

なんてありがたいんでしょう。


いろんなことに想いをはせる、海図との出会いでした。







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(以下広告、にじいろたまごとは関係ありません)
by nijiironijiiro | 2010-07-10 12:25 | つれづれ
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